松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)
グローバル化、IT化、ウイルス感染の影響など、変化の激しい現代において、いつでも転職できることは強い武器になります。
著者は、人事・戦略コンサルタントの松本利明氏。
「いつでも転職できる!」ために
本書は、いつでも転職できるようになるために、転職関連の幅広い内容を扱っています。
内容をいくつか挙げると、こんな感じです。
- やりたいことよりも、向いていることを仕事に選ぶべき理由
- どういう業界があなたによいか
- 他と差をつける自己PRの方法
- 転職しない場合のスキルの磨き方
- 転職の判断基準
内容は多岐にわたるのですが、今回は、「向いていることを仕事にすべき」ことについて書きます。
好きなことよりも向いていることを仕事にすべき?
転職系ユーチューバーの動画を見ると、「好きなことを仕事にしよう!」「好きなことで働くのが今の時代だ」という主張をしている方が多いように感じます。
本書では、好きなことや、やりたいことを仕事にするのではなく、向いていることを仕事にすべきと書かれています。
その理由はいくつか挙げられていますが、たとえば、好きなことと、それに関連する仕事の内容が必ずしも一致しないことが書かれています。
実際に趣味を仕事にしてみたけれど…
趣味を仕事にして、ズレを感じたというのは、私自身も経験があります。
写真を撮ることが好きで、写真スタジオで働いたことがありました。
その写真スタジオでの仕事の9割は、七五三の記念撮影でした。
そのため、求められるスキルは、子どもの機嫌を取ることです。
ポーズや構図、ライティングは、社内で決められているものに従うので、カメラの知識はほとんど必要ありません。
カメラに詳しいことよりも、子どもの扱いが上手なことが求められます。
結局、その仕事は長続きせず、趣味に関係するといっても、趣味の延長で働けるとは限らないのだなと思いました。
本書では、好きなことを仕事にする場合は、仕事内容をよく理解することが必要としています。
向いている仕事ってどんな仕事?
自分に向いている仕事を見つけるためには、まず、自分の「持ち味」を知ることが重要です。
持ち味を知るにはどうしたらいいかというと、あなたが普段お仕事をしていて、「どんな人」から「どんな『ありがとう』の声」を貰っているのかを集めるとわかります。
(松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』より引用)
つまり、仕事をする中で「ありがとう」と言われた経験から、自分に向いている仕事を見つけることができるということですね。
「ありがとうの声」自分自身に当てはめると…
私自身、思い返してみると、アルバイトの管理や育成を行ったことで、「ありがとう」という声をかけられたことが多いように感じました。
感謝されたのは、私の上司からとアルバイトの方々、両方からでした。
さらに、自分でこの「ありがとうの声」を分析してみると、これって私の「持ち味」なのかも?という新しい発見がありました。
この方法は、自分が勝手に自分について考えているセルフイメージ(「自分はやさしい」「自分はリーダーに向いている」など)よりも、他者の声を根拠にしているため、より客観的で現実に即した分析になると思います。
他にも転職前に知りたい情報がいろいろ
「向いていることを仕事にすべき」の他にも、転職に役立つ情報が多く掲載されています。
載っている自己PRの方法は、すぐに実践できそうな内容で効果的な方法だと思うので、私は次回の転職する際に絶対使おうと思いました。
また、成長ステージごとに身に着けておくべきスキルの話は、転職しなかったとしても、社会人として知っておきたい話だなと思います。
すぐに転職を考えている方、いつか転職するかもと考えている方、どちらにもおすすめの一冊です。