特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」(江戸東京博物館)に行ってきました。
その感想です。
【会期】
江戸東京博物館:6月2日(火)~6月21日(日)
山口県立美術館:7月7日(火)~8月30日(日)
あべのハルカス美術館:9月12日(土)~11月8日(日)
混雑具合
平日の午前中に江戸東京博物館へ行きました。
チケット売り場で待っている人が0人。
正面の入口はガラガラで、人がいないぞ!という感じでした。
特別展の展示は、1作品に対し、0人~4人が観ている感じでした。
4人は滅多になく、ほとんどが1人~2人くらいです。
屏風や巻物など、展示作品が比較的大きいので、あまりストレスなく観れました。
時間が経つにつれ、お客さんがやや増えました。
年配の人が多く、若い人は少ない感じです。
男女半々くらいでした。
通常時は外国人が多いんだと思いますが、この日は見かけませんでした。
平日でこれくらいの混み具合なら、土日はちょっとストレスある感じかもしれません。
新型コロナウイルス対策
「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」は、事前予約制ではありません。
入場制限はしているようですが、私が行ったときには、とくに制限はなかったです。
入口で、非接触方式で体温のチェックと、手の消毒のお願いがありました。
それと、マスクの着用をしないといけません。
新型コロナウィルス対策のためか、ただのデザインなのかわかりませんでしたが、展示作品の前にも、一定間隔で印がしてありました。
しかし、観ている人はあんまり気にしていない感じでしたね。
私は、やたら距離が近い人がいたら、自分から逃げるようにしました。
見どころだと思うところ
個人的に見どころだと思うところを挙げます。
北斎の晩年の大作
葛飾北斎の作品は、4作品展示されていました。
長野・小布施の北斎館からやっていた《女浪》《鳳凰図》もよかったですが、特に圧倒されたのは《弘法大師修法図》です。
絵は下記リンク先で、ご覧ください。
晩年期の肉筆画で、150×240cmの大作です。
文献で存在は知られていたものの、長らく所在不明でしたが、1983年に、東京足立区の西新井大師の倉庫で発見されました。
弘法大師が、鬼(悪疫)を調伏(ちょうぶく)する様が描かれています。
こん棒を持った禍々しい鬼が、弘法大師に近づき、犬が大きな口を開けて威嚇しています。
緊張感のある絵です。
弘法大師の下に沸くのは、水でしょうか?
「西新井」の地名は、弘法大師がその土地で加持祈祷を行った際に、水が湧き出たという井戸があったことが由来です。
かわいい絵もあるよ
《弘法大師修法図》のように、おどろおどろしい絵だけでなく、かわいい絵もありました。
中村芳中《人物花鳥図巻》はゆるくかわいいです。
(写真は、展覧会グッズの絵葉書より)
絵具が乾かないうちに、他の色を重ねて、にじませる「たらしこみ」の技法が使われた巻物です。
他に、耳鳥斎《別世界巻》という地獄を描いた巻物も、かわいかったです。
あと、虎を描いた屏風が3作品くらいありましたが、屏風に描かれた虎は、猫みたいでだいたいかわいいですね。
当時の人たちは、本物の虎を見たことがなかったからでしょうか。
一方で、珍しく熊を描いた屏風がありましたが、熊はちっともかわいくないのです。
アバンギャルドな凧
(写真は、展覧会グッズの絵葉書より)
展覧会のチラシにも載っている鈴木其一《紅葉狩図凧》は、こんな凧をあげていたら、目立っただろうなーと思いました。
といっても、これで凧あげしていたではなく、鑑賞用だったのだと思います。
それにしても、凧という長期保存に適していない形態のものなのに、現代でも、きれいな色鮮やかな姿で残っていることに感激しました。
また、この《紅葉狩図凧》の箱書には、「金杦邑画狂其一筆」とあるらしく、「画狂老人卍」の他にも、「画狂」を名乗る絵師がいたことを初めて知りました。
その他にも…
なにしろ、全国から35人の絵師の作品を集めているので、見どころいっぱいですが、他に気になった2作品を紹介します。
絵金《伊達競阿国劇場 累》
歌舞伎が題材とだけあって、人物の表情・動きが、ドラマチックですね。
この歌舞伎のオリジナルは、怪談『累ヶ淵』ですが、実写映画化もされた人気漫画『累 -かさね-』も、この怪談を基にしているようです。
真ん中の醜女の「かさね」の物語を知っていると、なんだかかわいそうな感じもします。
林十江《花魁・遣手婆図》
大胆な筆遣い、下半身はデッサンがおかしくなっています。
人間の卑小さが露わになっているような感じがしました。
ロートレックのカリカチュアのような絵を思い出します。
時代は、勿論、こっちが先ですけども。
展覧会グッズ
展覧会限定グッズとしては、図録・Tシャツ・バッグ・布製の缶バッチ・絵ハガキがありました。
展示を再開した「#奇才-江戸絵画の冒険者たち-」のミュージアムショップをご紹介します。展覧会オリジナル商品や関連商品をご用意しております。展覧会の思い出にいかがでしょうか?皆様のお越しをお待ちしております。#江戸東京博物館 pic.twitter.com/jMJDpBTR2C
— 江戸東京博物館 (@edohakugibochan) June 5, 2020
展示作品にはありませんでしたが、芳中の犬のシールを買いました。
かわいいでしょ。
まとめ
色々な画風の変な絵があって、面白かったです。
江戸時代の絵画表現が、豊かだったということがわかりました。
久しぶりの美術館だったからでしょうか、観終わった後は、お腹いっぱいという感じもしました。
新型コロナウィルスの影響で、平日だしガラガラかな?と思いましたが、そうでもない感じだったのは意外でした。
それだけ人気が高いということですね。