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今でも買える江戸絵画【大津絵】‐「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展

大津絵は、江戸時代初期より、東海道の宿場・大津宿で土産物として販売されていた民俗絵画です。

高級絵画ではなく、庶民向けの量産品として、親しまれていました。

 

2020年9月19日~11月8日には、大津絵がテーマの「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展が、東京ステーションギャラリー(東京・千代田区)にて開催されます。

 

美術館・博物館で展示されることもある大津絵ですが、実は、今でも買えちゃいます

今回は、我が家にある大津絵「鬼の寒念仏」について書こうと思います。

 

大津絵といえば、この画題

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「鬼の寒念仏」という画題の絵で、鬼が僧侶の格好をして念仏を唱えています。

 

大津絵は、100種類以上の画題があるといわれています。

そのなかでも、「鬼の寒念仏」(「鬼の念仏」とも呼ばれます)は、大津絵のなかで最も代表的な画題です。

 

「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展のパンフレットにも、「鬼の念仏」の絵があります。 

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画像は、「もうひとつの江戸絵画 大津絵」チラシより

 

大津絵は、もともとは仏画がメインだったようですが、やがて、仏道と関係のないものや、ユーモラスなものなど世俗画が増えていったみたいです。

 

 

他に、大津絵で有名な画題に、「藤娘」があります。

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画像はWikipediaより(不明 , パブリック・ドメイン, リンクによる)

 

こちらは、黒の塗り笠を被った娘と藤の花が描かれています。

「藤娘」は、歌舞伎や日本舞踊の題材にもなっています。

 

ユーモラスで、私が好きなのは「鬼の太鼓釣り」(「雷公」とも呼ばれます)

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画像はWikipediaより(不明, パブリック・ドメイン, リンクによる)

 

鬼が、雲から太鼓を落としてしまい、釣り上げようとしています。

 

 

大津絵は、ただの飾りというだけでなく、護符としての効能も唱えられていたようです。

「鬼の寒念仏」は子どもの夜泣き、「藤娘」は愛嬌がよくなる・良縁、「雷公」は雷除けに効果があると言われていたんだとか。

 

江戸時代の頃の大津絵は、和紙に描かれたものだったそうで、軽いですから、歩く旅行のお土産にちょうどよかったのでしょう。

帰りを待つ家族を思って購入し、無事に帰ったら、部屋の壁にでも飾っていたのかなと思います。

 

大津絵といえば、この俳句

「鬼の寒念仏」の鬼の上には、「大津絵の筆の始めは何仏」という俳句が書かれています。

松尾芭蕉が詠んだ句で、大津絵といえば、この句らしいです。

 

意味は、「大津絵の絵師は、年の初めに何の仏を描くのだろうか」といった感じでしょうか。そこに、「自分も何を詠もうかな」という気持ちが重なっています。

大津絵の絵師にならい、正月三が日まで句を詠まないでいた芭蕉が、正月4日に、大津市にある義仲寺・無名庵で詠んだ句です。

 

おそらく芭蕉がこの句を詠んだ頃は、大津絵は、まだ仏画がメインだったのでしょう。

今でも、お正月=神事ということから、正月三が日まで仏壇の扉を閉じておく家もあるようです。

大津絵の絵師が正月4日から仏の絵を描くというのは、そういったことなのかなと思います。それとも、ただの正月休みか。

 

どこで購入できるのか 

大津絵は、大津市にある大津絵のお店、百貨店の催事やネット通販で購入することができます。

 

我が家にあるのは、「大津絵の店」さんのものです。

こちらの四代目と五代目の方が、大津絵の絵師です。

おそらく、現在、本業の絵師さんは他にいないのではないかと思います。

 

オンラインショップもあります。

www.otsue.jp

 

「古いものが欲しい」という方は、画廊、古美術品店、メルカリやヤフオクなんかでも販売されています。

 

25万円じゃなくても

とある画廊のサイトを見ると、大津絵の掛け軸が25万円くらいで販売されていました。

昔は庶民の土産物でしたが、掛け軸や骨董品だと、高くなります。 

 

我が家にあるのは、小さいですし、骨董品ではなく新品で、数千円で購入しました。

それでも、肉筆画です。

今は買ったときのままの姿ですが、そのうち、小さな掛け軸風に表装できたらいいなと思っています。

 

絵というのは、生活になくても困らないものですが、あるとうれしくなるものだと思います。

大津絵のほかにも、家にいくつか絵を飾って楽しんでします。

どれも高価なものではなく、人に見せびらかしたいわけでもなく、自分のために飾っています。

 

大津絵も、もともとは庶民の土産物だし、気軽に楽しもうと思います。

 

「もうひとつの江戸絵画 大津絵」

時代が変わる中で、失われていく文化は多いので、私は大津絵もすでに現役の絵師がいなくなっているものだとばかり思っていました。

 

うれしいことに私の予想は外れ、今も、現役の絵師さんがいるということに驚きました。

よくぞ、継承されてきてくれた!と思います。

 

江戸時代以降も、その素朴さからでしょうか、柳宗悦、芹沢銈介といった民藝運動のメンバーに大津絵は愛されてきました。

また、お茶道具としても、使われているようです。

 

東京ステーションギャラリーで「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展が開催されますし、大津絵が注目されるといいなと思います。

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画像は、「もうひとつの江戸絵画 大津絵」チラシより

 

こちらの展覧会では、大津絵を約150点、目利きの人々が所蔵していたものばかりを集めたそうです。

 

展覧会のキャッチコピーは、「欲しい!欲しい!欲しい!」「何としても手に入れたい! 誰がための画か―民衆から文化人へ」。

前回のバウハウス展もですが、東京ステーションギャラリーは、チラシが上手だなと思います。

www.yoriyoihibiwo.com

 

大津絵は、さまざまな画題の絵がありますし、和紙のほかにも、古材、瓢箪やうちわに描かれたものもあって、素敵ですね。

そして、美術館で観るだけなく、数千円から1万円とちょっとの金額でも、いろいろな中から手に入れることができる。

大津絵には、「欲しい!欲しい!欲しい!」となってしまう魅力が、今もあると思います。