「未来少年コナン」は何故こんなに面白いのかと題して、5回にわたり、記事をあげてきました。
今回はそのまとめです。
(以下、ネタバレ注意です。)
長編アニメとしての面白さ
考察1では、2時間のアニメ映画にはない、長編アニメとしての面白さについて書きました。
ジブリの映画では、基本的に1時間半~2時間くらいの上演時間です。
一方で、「未来少年コナン」は全26話(各30分)で、全体で約13時間もあります。
「未来少年コナン」では、「めでたしめでたし」になるはずだった、その先の物語を見せてくれる面白さがあります。
視聴者を飽きさせないストーリー展開
主人公のコナンが死んでしまうと物語が終わってしまうので、主人公は必ず生かさなくてはいけません。
しかしながら、主人公が無敵であることに気づいてしまうと、視聴者は飽きてしまいます。
「未来少年コナン」では、次の2つの点、
・敵の強さ・巨大さを強調することで、どうやっても勝てそうにないことを見せつけること
・理にかなった方法で勝つこと
によって、視聴者を飽きさせません。
主人公とヒロインだけじゃない名脇役の存在
考察2では、主人公とヒロインだけじゃない名脇役の存在として、ジムシィ、モンスリーについて書きました。
ユーモアで和ませるジムシィ
ジムシィは、緊張が続くこの物語で、ユーモアで緊張を緩ませてくれました。
ジムシィが、コナンとラナの関係に「いいな」と言ったり、自分の豚に「うまそう」と名付けたりするところは、視聴者を和ませます。
敵からどうやって味方になるのか
モンスリーは、最初、コナンたちの敵として物語に登場しました。
最終的に、モンスリーは仲間になり、かわいい花嫁姿まで見せてくれます。
「敵から仲間になる」というのは、少年漫画などではお決まりの展開です。
「未来少年コナン」では、モンスリーの気持ちの移り変わりを、丁寧に描いています。
セリフがなくても伝わってくるもの
考察3では、描写と動きについて書きました。
「未来少年コナン」において、視聴者が心が動かされるシーンの特徴として、セリフがないことがあります。
セリフがなくても、描写によって伝わってくる感情によって、視聴者の記憶に残るシーンとなります。
動きと音で魅せる
また、動き・音の演出について、コナンとレプカの最終対決シーンを例に挙げて書きました。
漫画がセリフ・静止画で魅せるコンテンツであることに対し、アニメは動き・音で魅せるコンテンツであることを改めて気づかせてくれる作品だと思います。
世界観と思想性
「未来少年コナン」が大人でも楽しめる理由として、このアニメの世界観・思想性があります。
まず、世界設定がどんどん明らかになっていくという面白さがあります。
最初、この世界のことが何もわからなかったコナンと視聴者が、コナンの旅を通して、わかるようになっていくという面白さがあります。
そして、考察4では、インダストリア=悪、ハイハーバー=善という単純な善悪二元論ではなく、理想郷に見えるハイハーバーには、暗い部分があることについて書きました。
第1に、オーロたち孤児が、「山向こう」という辺鄙な土地で、畜産業という偏見・差別にさらされやすい産業を生業としていることです。
第2に、ハイハーバーが戦地となったことです。
名作とは普遍性があること
「未来少年コナン」が名作であるのは、現在にも通じる問題が提起されているからだと思います。
考察5では、ハイハーバーが戦地となったシーンに、平和ボケしている日本人への警告を感じたことを書きました。
まとめ
「未来少年コナン」は、特定の要素だけでなく、それぞれの要素がどれも面白いから、総合的に評価が高くなるアニメだと思います。
今まで述べてきたものをまとめると、次のような要素が面白さの理由だと思います。
- 視聴者を飽きさせないストーリ―展開
- 魅力的な脇役
- 視聴者の心を動かす描写
- 世界観がどんどん明らかになっていく面白さ
- 扱っている問題の普遍性
今回、長々と「未来少年コナン」の魅力の理由を探ってきました。
それでも、出来上がったものに対し、分析・批評するのは楽な仕事だと思います。
他方、上にあげた要素を全部満たして、一つのアニメを作り上げることのなんと難しいことか。
名作「未来少年コナン」を作り上げた宮崎駿とスタッフの方々に、本当に頭が下がる思いです。
番外編
他にも、「未来少年コナン」の周辺事情で、このアニメを楽しむという方法があると思います。
人気のアニメでは、制作過程の情報を一般人でも知ることができます。
また、魅力的であるからこそ、他のアニメや漫画に影響を与えることがあります。
アニメそのものだけでなく、そういった周辺事情を知ることで、さらにそのアニメを楽しむことができます。
また、番外編については改めて書こうと思います。
↓番外編を書きました。制作過程がわかるもの、手に入るグッズ、『ドラゴンボール』の影響についてなど。
↓未来少年コナンの世界をより詳しくなるための1冊