アーティゾン美術館「琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術」展に行ってきました。
2020年1月にリニューアルオープンしたアーティゾン美術館。今回が初訪問でした。
「琳派と印象派」展の感想、混雑具合など書こうと思います。
「琳派と印象派」展の全体の感想
最初、「琳派と印象派? なぜ、この二つの組み合わせなんだろう?」という疑問から入りました。
そして、全体通して観て、私は、琳派だけを観たかったように思いました。
というのも、展示の最初のほうで、琳派の作品をメインに扱っているのですが、これがとてもよかったのです。
一番最初の「洛中洛外図屏風」から圧倒されます。金どひゃーんで、これでもかと描きこまれていて、なかなかお客さんを離しません。
「槇楓図屏風」「富士三壺図屏風」も、いつまでも観ていられそうな面白い屏風で、やっぱり、尾形光琳ってすごいんだなぁと思うのです。
金キラなものだけでなく、墨絵も展示されています。
俵屋宗達「蓮池水禽図」「狗子図」は墨絵ですが、動物たちが生き生きとしていて、動いている姿が容易に想像できます。
琳派いいな、琳派楽しいな、と私の心は琳派一色に染まりました。
それが、いつの間にやら、印象派の絵画や彫刻が、少しずつ姿を現すのです。
「水の表現」であったり、「間の取り方」(間ではなく、視点では?と思いました)であったりと、琳派と印象派の対比が説明されているのですが、私の心はすでに琳派一色。
もっと琳派が観たいんですけど!という気持ちになってしまったのでした。
そのうち、「都市市民の肖像」というセクションから、琳派と印象派の対比の説明は、ほとんどなくなります。
素直な方なら、「へー、印象派は都市を描いたり、反対に郊外で自然を描いたり、静物にも神話的なものも描いていたのね! 琳派とは違うのね! 両方観れてお得だわー」となるのかもしれません。
琳派に魅了され、かつ、ひねくれものの私は、「琳派の作品数が足りなかったための抱き合わせ商法なのでは」と疑心暗鬼になり、印象派のほうを純粋に楽しむことができなかったのでした。
せっかく行ったのだから、展示されていたマネの「自画像」のような態度にならず、素直な心で楽しめばよかったな…。
作品の感想
今回観た中で、とくによかったと私が感じたのは、尾形光琳「槇楓図屏風」「富士三壺図屏風」でした。
後年の琳派の絵師たちもそれぞれよいけれど、尾形光琳には負けるよなと思ってしまうのです。
なんというか、光琳の斬新さに対して、他が弱く感じてしまうというか。
こちらの二双の屏風は前期のみの展示です。
今回の展示では、とくに琳派のもので、前期と後期で観られる作品がかなり違います。
目的の作品がある場合、いつ展示されるか注意が必要です。
尾形光琳「槇楓図屏風」
槇と楓のくねくねとした幹。
木も葉もわさわさと生えているので、画面がとっちらかりそうなのに、絶妙なバランスでまとまっています。
↓リンク先に画像有り
光琳の晩年の作であるといわれています。
あとで調べて知ったのですが、この屏風は、俵屋宗達の同名の屏風(山種美術館所蔵)の模写です。
2015年に、根津美術館において隣同士で展示されたこともあったみたいです。
比較すると、光琳のほうが宗達より、葉が少なめでよりすっきりとし、幹のくねくねを強調しているように思います。
尾形光琳「富士三壺図屏風」
「富士三壺図屏風」は、なんと日本初公開らしいです。
富士山どかーん。
波、何これ。こんな波ってある?
一つ一つの波が生き物みたいです。
北斎の水の表現って変ですが、光琳の水の表現も変ですね。
「富士三壺図屏風」は撮影禁止でした。
日本初公開かつ個人蔵だからか、ネットで調べても、画像や情報が全然ありません。
雑誌『和樂 2020年12 ・1月号』で、この屏風の特集が組まれているみたいなので、そこで情報が得られそうです。
ちなみに、下のツイートの写真の背景が「富士三壺図屏風」の右隻です。
本日からアーティゾン美術館で開催の「琳派と印象派」展
— 和樂(雑誌)公式 (@warakumagazine) November 14, 2020
なんといっても注目は日本初公開の尾形光琳『富士三壺図屏風』
報道内覧会でも撮影が許されなかった作品ですが、発売中の和樂12・1月号 https://t.co/2rEFgS5NMx ではどこよりも早く、この幻の名作の詳細を、じっくり6ページで紹介中!84 pic.twitter.com/1WS0tKbU6t
年末ということで、カレンダーが2冊もついてくるようですし(和樂買うような人は広い家に住んでいるのね、きっと)、今度買おうかと思います。
混雑状況
平日の午前10時半頃に行きました。混んではいないが、空いてもいない、という感じでした。
日時指定予約制で入場がスムーズだからか、受付はガラガラ。
展示室のほうは、私が思っていた以上に人がいて、逆に安心(リニューアルしたばかりなのに、ガラガラじゃかわいそうだもの)という感じでした。
MAXの混雑は、一番最初の「洛中洛外図屏風」。
細かい描写があるので、みなさん観るのに時間がかかります。
他は、一作品に対して平均1~2人くらいで、それほどストレスなく観られました。
一度、ランチのため展示室を出て、2時頃に戻った際は、お客さんが午前より減っている感じがしました。
他にも楽しめます
「琳派と印象派」展のほかに、ミュージアムカフェでランチを食べ、同時開催の「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代 久留米をめぐる画家たち」展も観ました。
ランチに1時間半くらいかかったことや、ゆっくり観たこともあって、10時半から16時まで美術館の中に。
石橋財団コレクション展のほうも盛りだくさんだったので、1日どっぷり、美術を楽しめました。
また、アーティゾン美術館のランチについて、別記事に書こうかと思います。
ミュージアムカフェのランチ、美味しかったし楽しかったので、一緒に行くのおすすめです。