月光荘『エノグ屋の言葉集』(産業編集センター)は、銀座の画材屋さん月光荘で販売されている「ユーモアカード」をまとめた一冊です。
ユーモアカード
短い言葉とイラストが手刷りされた、月光荘オリジナルの葉書「ユーモアカード」。
その素朴さと軽妙さに惹かれ、私も何枚か持っています。
本書に掲載されていた中では、こちらが好きでした。
画像は、月光荘『エノグ屋の言葉集』(産業編集センター)より引用
ユーモアカードの他には、
- 月光荘おじさんの言葉
- 著名人の寄稿
- 月光荘の絵の具の色見本+色ポエム
が掲載されています。
本作りの面白さ
この本の作り方も面白いなと思いました。
その話の前に、本作りの基本について書こうと思います。
本を作る際には、まず、大きな1枚の紙に、本文を16ページ分、印刷します。
そして、その「16ページ分印刷された1枚の紙」を折りたたみ、一つの冊子にします。
この冊子を、「折丁」といいます。
この折丁を複数まとめると、一冊の本となります。
背がない
この本の話に戻りますと、
この本はカバーを外すと、背(本棚に並べたときに見える部分)がありません。
そのため、折丁の背の部分が丸見えになっています。
なぜ、このような作りにしたのか、正確な意図は、担当編集に聞かないとわかりません。
背がないことの利点は、開いたときに平になりやすく、見開きで見やすくなることです。
しかし、背のないことで強度が下がるという欠点もあります。
また、ページをしっかり開くと内側に、背標(その折丁が何番目かの目印)が見えてしまうというのもあります。
折丁ごとの2色刷り
背の他に、面白いなと思ったのが、2色刷りの方法です。
ユーモアカードが掲載されついる誌面は、2色刷りです。
黒と、もう1色は、ピンクやオレンジ、青、緑など。
2色刷りなのに、カラフルな印象を受けます。
この本では、折丁ごとに、つまり、16ページごとに、黒とセットになる色が変わるつくりになっています。
画像は、月光荘『エノグ屋の言葉集』(産業編集センター)より引用
たとえば、上の画像、
右の48ページ(3つ目の折丁の最終ページ)は、「黒×青」
左の49ページ(4つ目の折丁の最初のページ)は、「黒×緑」
の2色刷りになっています。
毎ページ違う色にするには、多色刷りが必要ですが、それだとコストが上がります。
折丁ごとに違う色の2色刷りにすることで、コストを抑えつつ、カラフルな印象を与える誌面にできます。
ちなみに、こういったことを考えるのは、担当編集またはブックデザイナーの仕事です。