【装丁の話】の第3段です。
今回は、詩集シリーズ「詩の時間」を取り上げて、詩集の装丁について書きます。
「詩の時間」シリーズ
「詩の時間」は、ポエムピース社から刊行されている詩集のシリーズです。
「詩の時間」シリーズとして、最初に、谷郁雄『大切なことは小さな字で書いてある』、松崎義行『幸せは搾取されない』の2冊が刊行されました。
その後、第3段として、御徒町凧『雑草・他』が刊行されています。
本のサイズは、新書よりもやや横が長い大きさで、鞄に入れて持ち歩けそうです。
四隅が丸く切り落とされていて、手で持ったときもいい感じ。
カバーはなく、やや厚い紙が表紙です。
表紙はシンプルなデザインですが、図形の銀の光沢が綺麗です。
表紙の裏側も、こんなふうに印刷がされています。
本文に使われた紙は、表がつるつる、裏がざらざらといった、面白い手触りです。
1ページあたりの文字数が少なく、級数(文字のサイズ)も大きいので、詩をゆっくりかみしめながら、読むことができます。
ノンブル(ページ番号)が内側になっていて、読んでいて邪魔にならないのもいいですね。
電子書籍ではなく、物としてある書籍だからこそ味わえる楽しさが、存分に感じられます。
デザインは、寄藤文平+鈴木千佳子。
印刷・製本は、株式会社上野印刷所。
詩集ってやっぱり装丁がよくなくっちゃ
文庫だと、確かに持ち運びは楽ですし、値段も安くなるでしょう。
しかし、詩集って、安さや機能性を追求するよりも、素敵な装丁だとうれしいなと私は思います。
詩集は、素敵な言葉が書いてあるのだから、外の装丁も素敵なものであってほしい。
小説よりも詩集は、気が向いたときに度々読むものであるからこそ、近くに置いてあって美しいものであってほしい。
そんなふうに思います。
また、詩集というのは、一般的に、小説よりも売れにくいジャンルであると思います。
なかなか詩集はベストセラーにはなりませんし、小さい書店だと単行本の詩集がそもそも置いてない=売れないと見なされていることもあります。
詩集は、「芸術性が高い、わかりにくい」と敬遠されがちなジャンルですから、見た目でアピールしていくことも、売るために必要なことだと思いました。
↓前回の【装丁の話】の記事です。目立つ装丁について書きました。