作文を書こうと思っても、他の人の作文をあまり読んだことがなければ、いきなり書くのは難しいと思います。
まず、最初に、オリジナルの作文を全文のせています。
次に、この作文を例に、上手な作文を書くコツとして、ポイントを解説しています。
ポイントをおさえれば、だれでも簡単に作文が書けます。
作文の例・全文
「骨折して気づいたこと」
私は、今年の1月に、足を骨折し、松葉づえを使って歩くことになりました。松葉づえでの生活は大変でしたが、周りの人を思いやることの大切さがわかりました。
私は、学校の階段で転んで、右足を骨折してしまいました。そのため、足が治るまで、松葉づえを使って歩くことになりました。
松葉づえを使って歩くのは大変です。早く歩くことができません。階段を降りるのは、毎回怖かったです。松葉づえで両手がふさがるので、物を持って移動することが難しかったです。
退院後に初めて学校に行った日、3時間目の授業が音楽でした。2階にある教室から、1階にある音楽室まで移動します。音楽室へ、音楽の教科書とリコーダーを持って行かないといけないので、どうしようと困っていました。
そのとき、クラスメイトの鈴木さんが、私のところへ来てくれて、
「大丈夫。私、持っていくよ。」
と、声をかけてくれました。そして、鈴木さんと田中さんが、私の教科書とリコーダーを持って、音楽室へ一緒に行ってくれました。とても助かりました。それに、私が困っていることに気がついて、声をかけてくれたことがうれしかったです。
松葉づえを使って生活していたときに、うれしかったことが他にもあります。
休日に、電車に乗ると、知らない高校生から声をかけられました。
「この席、よかったら座ってください。」
私が松葉づえを使って立っていたので、席を譲ってくれたのです。私はお礼を言って、席に座りました。電車が動き出すと、車内がゆれ始めました。松葉づえを使っていると、つり革がつかめません。席をゆずってもらってよかったなと思いました。
周りを見ると、座っている乗客に、スマートフォンを見ている人が多いことに気がつきました。私もそれまでは、電車で座れるとスマートフォンを見ていました。周りに、席が必要な人が立っていても、気づけなかったと思います。これからはスマートフォンに集中せず、電車に乗るとき、周りに気を配ろうと思いました。
それまで、松葉づえを使っている人を見たことはありました。しかし、松葉づえの生活が、こんなに大変だとは知りませんでした。
クラスメイトの鈴木さんと田中さん、電車で席をゆずってくれた高校生など周りの人たちが心配して、私に声をかけてくれました。困っていたので助かりました。その優しい気持ちもうれしかったです。
私は骨折するまで、自分自身のことばかりに集中していて、周りに困っている人がいるかもしれないなんて考えずにいました。
社会には、私のように松葉づえを使う人、車いすの人、目の見えない人、お年寄りなど、さまざまな事情をかかえた人がいます。これからは周りの人への思いやりを忘れずに、困った人を見かけたら、今度は私が声をかけたいです。
読んでもらった作文は、私が想像で書いたオリジナルの作文です。
小学5・6年生~中学生向けを想定しています。
原稿用紙4枚ぶんくらいの内容です。
上手な作文を書くコツ
今回は、さきほどの作文を例にして、説明していきます。
仮に、この作文をAさんが書いたとしましょう。
テーマ決め
テーマを決めるために、「何か心動かされるようなできごと、勉強になったできごと」がないかを思い返します。
今回、Aさんは、「骨折をし、松葉づえで生活をしていたとき、人に助けてもらってうれしかったな」と思い出しました。
「うれしかったな」で終わらせるのではなく、「私はこのできごとで、こういうふうに成長しました」と終わらせるほうが、ポイントが高いし、最後のまとめもしやすいです。
Aさんは、このエピソードで、「周りの人を思いやることの大切さを知った」という自分の心の成長があったことに気づきました。
設計書を書く
作文を書く前に、Aさんが書いた設計書はこんな感じです。
【タイトル】
「足を骨折して気づいたこと」
【できごと】
・学校の階段から転び、足を骨折。
→痛かった。
・行った病院でたくさん待たされた。
→待ちくたびれた。
・松葉づえで歩くのは大変。
→早く歩けない。階段は怖い。物を持って歩けない。
・移動教室のとき、教科書が持てなかった。
→鈴木さんと田中さんが、私の教科書を持って、一緒に行ってくれた。
→助かった。うれしかった。
・電車で、席を譲ってもらった。
→助かった。いつも電車で周りを見ていなかったことに気づいた。
・お母さんが学校へ送り迎えしてくれた。
【感想】
・松葉づえの生活がこんなに大変だとは知らなかった。
・自分が困っているとき、助けてもらえて、うれしかった。
・松葉づえや車いすの人を見かけることがある。
→今度は、自分が困っている人を助けたい。
設計書を書き、作文のテーマから、はずれることは削除します。
たとえば、「病院でたくさん待たされた」は削除します。
作文用紙の枚数が決まっている場合は、量の調整をします。
たとえば、「お母さんが学校へ送り迎えしてくれた」は、書いてもいい内容ですが、長くなるので今回は削除しました。
序論・本論・結論の順番
作文は、「序論→本論→結論」の順番で書きます。
序論は、最初の冒頭です。
私は、今年の1月に、足を骨折し、松葉づえを使って歩くことになりました。松葉づえでの生活は大変でしたが、周りの人を思いやることの大切さがわかりました。
この作文がどんな内容かを、短く書いています。
序論で「これからこういう話が始まります」というのを読者に知らせます。
序論を書かず、いきなり本論を始めるパターンもあります。
本論は、真ん中の部分です。
私は、学校の階段で転んで、足を骨折してしまいました。
(中略)これからはスマートフォンに集中せず、電車に乗るとき、周りに気を配ろうと思いました。
結論にいたるまでの、「できごと」と「そのときの思い」を書いています。
結論は、最後の部分です。
今まで、松葉づえを使っている人を見たことはありました。
(中略)これからは周りの人への思いやりを忘れずに、困った人を見かけたら、今度は私が声をかけたいです。
この作文で伝えたかった内容(自分がどのように成長したか)をまとめています。
そのほかに注意すること
今回はパソコンで作成したので、やっていませんが、
・きれいな字で書く
・作文のルールを守る
ことが必要です。
書き終わったら、読み返して、まちがいがないか確認します。
私が書いた作文は、自分で読み返しましたが、まちがいや、わかりにくい文章があるかもしれません。
できれば、学校に提出する前に、親など周りの大人に読んでもらうといいでしょう。
他の人に読んでもらうと、自分で気づけなかったまちがいが、見つかることがあります。
上手な作文の書き方を、さらに、くわしく知りたい場合は、次の記事をどうぞ。
受賞がねらえる作文の書き方を、無料で読むことができます。