「ロンドンナショナルギャラリー展」に行ってきました。
作品の感想、開幕してうれしいという話など。
行けないかと思ったので…
新型コロナウィルスの感染拡大防止で、ずっと開幕延期していた「ロンドンナショナルギャラリー展」。
東京では、このまま見られないのかなー、残念だなーと思っていたのですが、
まさかの会期延長しての開幕!
その手があったか!!
2020年の目玉となる美術展だけに、人も集まるので、感染防止対策は大丈夫なのかな…。
日時指定チケットの導入!
その手があったか!!
と、あの手この手で開幕してくださった国立西洋美術館さん。
これは行かなくっちゃと、日時指定チケットをポチリました。
↓チケットの購入方法は別記事に。
ひさしぶりに上野へ…
何か月かぶりに、訪れた上野。
平日って、こんな人いなかったっけ?と驚きました。
帰りに寄ったアメ横も、人が少ない…。
道路に人がいないので、「アメ横の道路ってあんな色だったんだ」と新しい発見がありました。
アメ横のお店に、マスクが50枚1,000円で売ってましたので、みなさん、ぜひ行ってください。
開館前の国立西洋美術館には、10人くらいの人が並んでいました。
なかには、透明のフェイスシールドを着用した準備万全のおじさんも。
待ち列にはどんどん人が増えていって、みんな、ずっと美術館行きたかったんだろうなと、思いました。
↓混雑状況の詳細は、別記事に。
「おでむかえ」の精神
焦る気持ちを抑えつつ、美術館内へ。
美術館の外で、微笑みのスタッフさんたちが、たくさん待ち構えていて少しビビる。
どこぞの百貨店よりサービス精神がよいではないか!
美術館内の会場入り口前では、時間差で会場内へ入れるため少し待機。
いつの間にか、待っている人がとても増えていることにも驚きました。
作品の感想
とくに、印象に残った作品は、
- カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』
- レンブラント『自画像』
- ターナー『ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス』
- ゴッホ『ひまわり』
です。
カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』
画像は、展覧会の絵はがきを撮影
カルロ・クリヴェリッチは初めて聞いた画家でしたが、今回とくによかったんじゃないかというぐらいに、すごい絵でした。
街並み、人物の服、調度品まで、多彩かつ緻密に描かれています。
江戸の画家だと、岩佐又兵衛みたいな感じ。
それと、遠近法で、目線が手前から奥へと導かれます。
天使ガブリエルの横で、都市の模型を持っているのは、聖エミディウスです。
聖エミディウスは、イタリアの都市アスコリ・ピチェーノの守護聖人。
この絵は、アスコリ・ピチェーノが、ローマ教皇より自治権を認められたことを祝って描かれた絵です。
画面前方にも、ラテン語で「LIBERTAS(自由)」「ECCLESIASTICA(教会)」と書かれています。
この絵の隣にはボッティチェリの絵がありましたが、そちらはちょっと残念な感じでした。
「プリマヴェーラ」と違って、なんだかオーラがない絵のように感じました。
レンブラント『自画像』
レンブラント・ファン・レイン - Selected work 16a from Self Portrait: Renaissance to Contemporary (Anthony Bond, Joanna Woodall, ISBN 978-1855143579)., パブリック・ドメイン, リンクによる
最初の展示室がルネサンスで、次の部屋は、いきなり、レンブラント!
ルネサンスの表情乏しい感じからのギャップがすごい。
この絵は、代表作『夜景』を描いた頃、レンブラント34歳の自画像です。
古典的な服やポーズは、ラファエロなどの巨匠の自画像を真似て描いたそうです。
ラファエロ・サンティ - Web Gallery of Art: 画像 Info about artwork, パブリック・ドメイン, リンクによる
ラファエロに並ぶような力量のある画家として、自分を意識していたのでしょうか。
このレンブラントの自画像には、自信家なように見えて、実は臆病な青年レンブラントが描かれているように思いました。
レンブラントの自画像は40点ほど現存しているようです。
前にフェルメール『真珠の耳飾りの少女』が来日したときの展示にも、レンブラントの自画像がありましたが、それは状態がイマイチだったと記憶してます。
ロンドンナショナルギャラリーのレンブラントは、とっても状態がいいです!
ありがとう!来日してくれて!という感じです。
逆に、今回展示されているフェルメールの絵は、状態がよくないように感じました。
ターナー『ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス』
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー - [1], パブリック・ドメイン, リンクによる
ターナーは、『坊っちゃん』の「ターナー島」で有名ですね。
今回の展示では、ターナーが影響を強く受けたクロード・ロランなど、ターナー以前の画家たちの風景画が展示されていました。
それらの絵と、ターナーの絵を比較して観る楽しさがあります。
『ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス』は、風景と人物や船が渾然一体となっていて、どこに誰がいるのかよくわからない絵です。
この絵は、ホメロスの『オデュッセイア』で、英雄オデュッセウスが巨人ポリュフェモスを酒で酔わせて目を潰し、逃げてくるところを題材にしたものです。
ヤマタノオロチみたいな話がギリシャにもあるんですね。
それにしても、オデュッセウスもポリュフェモスもどこにいるのやら。
この絵に強く感じるのは、大いなる自然、でしょうか。
太陽の光がすべてを包み、勝利への祝福の意味もあるのかもしれませんが、それはそれは人間より巨人よりも大きな大きな存在なのです。
ターナーが感じたであろう自然に対する畏敬の念は、日本人のそれと違って、神につながるものなのでしょうか。そのあたりは詳しくありません。
この絵のすばらしさは、画像じゃ全然伝わらないと思うので、是非実物を観てほしいです。
ゴッホ『ひまわり』
フィンセント・ファン・ゴッホ - National Gallery (NG3863), London, パブリック・ドメイン, リンクによる
SOMPO美術館の『ひまわり』と比べると、ロンドンナショナルギャラリーのもののほうがタッチの薄い感じです。
SOMPO美術館の『ひまわり』は、ロンドンナショナルギャラリーのものを基に、後から描かれたものらしいです。
そして、このロンドンナショナルギャラリーの『ひまわり』が、ゴーギャンの寝室に飾られたものなのだとか。
黄色の背景に黄色のひまわり、落ち着かないんじゃないか?と思ったり。
ゴッホは、ひまわりという題材を、アルルに行く前から描いていました。
パリで、ゴッホのひまわりの絵を見たゴーギャンから、いいねって褒められたんだとか。
うれしかったでしょうね。
SOMPO美術館で観たときはそう思わなかったのですが、この日は『ひまわり』を観て、なんだかちょっと悲しい気持ちになりました。
全体の構成としては、浅く広くという感じです。
「イタリア・ルネサンス」「オランダ絵画」のイギリスでの受容や、イギリスの「肖像画」「風景画」が、どのように移り変わっていったかという絵画の歴史を、絵画そのものをとおして知ることができました。
常設展も見ごたえあり
国立西洋美術館は、常設展も見ごたえがありました。
モネの作品もいくつか所蔵されていますし、ゴッホもピカソも、ルーベンスもあります。
宗教画、寓意画、戦後のアートもあり、全部観るとお腹いっぱいという感じです。
フェルメールの作ではないかという説のある『聖プラクセディス』も展示されています。
フェルメールのかな?どうかな?なんて考えたり。
ヨハネス・フェルメール - Mystudios.com, パブリック・ドメイン, リンクによる
逆に、ルーベンス作と信じられていた絵が、その後の調査で違う画家のだとわかったものがあったりと、面白かったです。
↓グッズの感想