「大おじ」の件でよくわからないのが、「後継者問題どうしたかったの?」ということ。
「大おじ」は石の積み木を積み上げることによって、塔のなかの世界を創っているようです。
「石」との契約で「大おじ」の血を継ぐ者だけが後継者になれるとのことで、「大おじ」は眞人を後継者にスカウトします。
その後、インコの王様が連れてきたヒミと会ったさい、「大おじ」は「眞人はいい子だね」などと話し、眞人・ヒミ・ナツコを元の世界に帰すと伝えます。
それなのに、「大おじ」は再度、眞人を後継者にスカウトし断られ、「現実世界に帰るのも、友達をつくるのもいいけれど、とにかく積み木を積むのだ!」などと迫ります。
そして、石の積み木をインコの王様がアンバランスに積んで崩れたことで、「大おじ」の世界は崩壊します。
「え?みんなを帰すつもりだったんじゃなかったの?」という感じなんですよね。
以下、「大おじ」は何がしたかったのかの考察です。
石の悪意とは?
前回の記事で、「石(隕石)」は「大おじ」の心臓をもらって生存しているのでは?と考察しました。
「石」は自分が生存し続けることに執着しています。
たとえば、上界(宙に浮いた石と大おじがいる場所)に続く三角形のトンネルがバチバチしていたのも、「石」が「大おじ」とその血を継ぐ者以外の接触を望まなかったからでしょう。
「大おじ」から後継者になることを頼まれたさい、眞人は「これは積み木ではない。石だ。あの墓と同じ悪意のあるものだ」というふうに答えます。
石と木の違いって、木より石のほうが他のものとぶつかったときに自分の形を変えず、他のものを傷つける性質があるな、と思いました。
人間を食べるインコやペリカンも、外部から侵入する人間を排除するための装置だったのかもなと思いました。
「石」の悪意とは、自分第一で周りを排除しようとすること。
眞人の頭の傷は悪意の証だと言っていますが、あの傷も「自分が!自分が!」の精神で作られたものといえると思います。
なお、悪意の対比として、「友達をつくる!」という眞人の宣言や、火事で死ぬ運命を受け入れ眞人を生むことを決意するヒミの自己犠牲が出てきます。
石の積み木
宙に浮かぶ石の周辺に、たくさん石の積み木が落ちていました。
ちなみに、ヒミが落ちている石の積み木について「まだ何か残っているかもしれないから触らないほうがいい」と眞人に言っていますが、このとき眞人はポケットに1つ入れています。
これらの石の積み木は「石」が作り出したもので、そのすべてが悪意にそまっているのでしょう。
つまり、石の積み木をどんなふうに積んでも、「石」の生存が優先され、邪魔する者が排除される世界が構築されてしまうのです。
わざと世界を崩壊させた?
「石」はナツコのお腹の子の心臓を欲しがっていたことを前回の記事に書きました。
元の世界にナツコのお腹の子を戻すためには、この世界の崩壊=「石」を殺すことが必要だったのでしょう。
「大おじ」ははるか遠くを旅して見つけてきた「悪意のない石」を積むよう眞人を急かしますが、眞人は積まず、代わりにインコの王様が積みます。
結果、アンバランスで積み木が崩れてしまい、世界は崩壊します。
悪意のない世界はありえないので、インコの王様だけでなく誰にも積むことができなかった=創ることはできなかったのかなとも思います。
それか「悪意のない石」発言は嘘で、とにかく「大おじ」以外の人間に石の積み木をアンバランスに積ませて、世界を崩壊させたかったのかもと思いました(「大おじ」にはできないことだった?)。
積み木を積んで世界を崩壊させることに関して、回りくどいお願いをするのではなく、直接頼めなかったのは、「石」にバレないように作戦を進めていたのかなと思いました。
つづきます。