よりよい日々を

毎日がよりよい日々になるように。本・美術・手芸・素敵なモノや街のスポットについて書いています。

ポルノグラフィティの曲を聞いて、村上春樹っぽいと思ったという話。

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一発撮りがコンセプトのYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でポルノグラフィティの回を見ました。

久しぶりに聞いた「サウダージ」がとってもよくて、YouTubeで期間限定で配信されている他の曲も聞いてみました。

 

「アポロ」「ヒトリノ夜」「ミュージック・アワー」「アゲハ蝶」「メリッサ」「サボテン」「今宵、月が見えずとも」「シスター」などなど…

ファンというわけではなかったのに、知っている曲が沢山あることに驚きました。

きっと、当時、これらの楽曲がテレビやラジオ、街中のあちこちで流れていたからなんでしょうね。

 

改めて聞くことで、歌詞がこういうふうだったんだと思うものも、ちらほら。

そして、「歌詞、村上春樹っぽくない?」と思ったのです。

正直、このことはまだうまく言語化できていないけれど、多分、一週間後には書く意欲を無くしてしまうような気がするので、今のうちに書いておきます。

ポルノグラフィティファンとハルキストを敵に回すつもりはなく、ただの一個人の感想です。

 

村上春樹っぽいと思う歌詞

最近、村上春樹『海辺のカフカ』を読んでいたから、余計にそう感じるのかもしれません…

 

「アゲハ蝶」を聞いていたとき、『海辺のカフカ』を思い出したのです。

 

歌詞のこの部分。

旅人に尋ねてみた どこまで行くのかと

いつになれば終えるのかと

旅人は答えた 終わりなどはないさ

終わらせることはできるけど

(ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」より引用)

続く歌詞で、「僕」はこの旅人が「自分自身だと気付いた」ことが歌われます。

 

『海辺のカフカ』は主人公の田村カフカが、「カラスと呼ばれる少年」という自分の心に中にある人物(?)に度々語りかけているのですが、ここの部分に重なるような感じがします。

「アゲハ蝶」で歌われる「夢で逢えるだけでよかった」相手との恋についても、『海辺のカフカ』の主人公の恋と重ねて考えてしまいます。

 

「アゲハ蝶」が先⁉

ストーリーの類似が気になって調べてみたら、『海辺のカフカ』の初版が2002年、「アゲハ蝶」のシングルが発売されたのが2001年。

そう、2001年の「アゲハ蝶」のほうが先なので、「アゲハ蝶」が『海辺のカフカ』に影響されたというのは有り得ないんです。

 

そこは繋がらないようですが、その後も聞いていて、歌詞に村上春樹っぽさを感じたんですよね。

 

「アポロ」の歌詞のこの部分。

みんながチェック入れてる 限定の君の腕時計はデジタル仕様

それって僕のより はやく進むって本当かい?

ただ壊れてる

(ポルノグラフィティ「アポロ」より引用)

 

この部分を聞くときにはいつも「みんながチェック入れてる」ってどんな光景だ?と想像してしまうんですよね、

そして、気づいたら、アポロ11号が月に行っているという。

 

それはさておき、

この部分の非現実っぽさと本質をつく指摘、「チェック入れてる」「デジタル仕様」という言葉や翻訳調の語り口調に村上春樹っぽさを感じるのかな、どうだろうな…と考えています。

 

他に「アポロ」だと、

大統領の名前なんてさ 覚えてなくてもね いいけれど

(ポルノグラフィティ「アポロ」より引用)

という部分は、村上春樹の小説の登場人物が言いそうなセリフだなと感じました。

 

他には、思いつくところだと「サウダージ」「シスター」の抒情性が村上春樹っぽく感じます。

 

村上春樹の小説とポルノグラフィティの曲の歌詞を詳しく比較検討すれば、

私の感じた「ポルノグラフィティの歌詞って村上春樹っぽい」が確かなものかどうかはっきりするのでしょうが、

それで論文書くわけじゃなし、そこまでする気になれずという感じです…

 

どんな人が歌詞を書いているの?

私、勝手にポルノグラフィティの曲は、作詞家が別にいると思っていました。

調べてみて、「アポロ」「サウダージ」「シスター」の作詞者は新藤晴一、つまり、ポルノグラフィティのギターの人が歌詞を書いていたことを知りました。

 

初期の頃の作詞の名義がハルイチだったことや、歌詞の持つ力に作詞家が書いていたのだと勘違いしていたみたいです。

 

そして、新藤晴一さんのことを調べると、村上春樹が好きだということがわかり、私は答え合わせをしたような気分になりました。

私の調べでは、少なくとも中学生の頃には村上春樹の作品を読まれていたみたいですね。

 

マネとかそういう話ではなくて、創作ってきっとゼロから作るものではなく、作者がこれまでの人生で大量にインプットしてきたものの中からどれを選ぶかだと思うのです。

きっと村上春樹以外にもたくさんのインプットがあって、あの素晴らしい歌詞たちが生まれたのでしょう。

 

自分の感じたことがあながち間違いでもなさそうだということがわかり、うれしく思ったという話でした。