よりよい日々を

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「どうなる? 日本社会と外国人 多文化共生を考える」に行ってきました

「どうなる? 日本社会と外国人 多文化共生を考える」(集英社×ミシマ社)

講師

内藤正典先生(同志社大学大学院教授)
イヤス・サリム先生(同志社大学助教)

 

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内藤先生の著書「外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?」(集英社)と「イスラムが効く!」(ミシマ社)の刊行記念として、神保町の集英社のビルで講演会がありました。

 

前半で、先日台風があったことに関連して、大きな災害があったときに、ムスリムはどのような受け止め方をする方をするのか、後半で、外国人労働者について対談されていました。

 

今回は、外国人労働者について、特に興味がありましたので、それについて書こうと思います。

先生方のお話を伺って、私自身が、外国人労働者と日本人の間に線を引いていることに改めて気がつきました。

 

外国人労働者に関して、 パレスチナ出身のイヤス先生が、外国人労働者は自分のためというより家族のために出稼ぎに来ている場合が多く、その背後には多くの家族がいることを忘れてはいけないこと、そして、外国人労働者の尊厳を保たないといけないと話されていました。

 

内藤先生は、イヤス先生の話を受けて、外国人の就労許可の種類によっては、家族の帯同が許されないことは人道違反であるということを強く主張されていました。

 

確かに、外国人労働者の人権を守るべきだと思います。

特に最近、技能実習生が劣悪な環境で働いているというニュースを見聞きするので、

外国人労働者を奴隷のように扱う雇用者は、厳しく罰してほしいと強く思います。

 

そのように外国人労働者の労働環境がよくなることを願う一方で、私自身は、やっぱり日本人と外国人労働者の間に線を引いてしまっているなと思います。

 

たとえば、外国人労働者の家族の帯同が広く許されることは、外国人労働者の権利という面から考えると理想だとは思いますが、様々な問題が生じるだろうなと思います。

たとえば、家族の就労や教育の問題です。

外国人労働者の家族の就労を許可すると、外国人労働者の数を管理することが不可能になり、増えていくばかりでしょう。

逆に就労を禁止すると、働く権利を奪うことになるので、滞在期間が長くなればなるほど、これもまた問題です。不法就労にもつながりやすいです。

 

また、外国人が増えると、その教育をどうするかという問題があります。

外国人の教育を行政が対応すべきと主張するのは簡単です。

でも、ただでさえ負担が大きい学校の先生たちが、さらに様々な言語や文化で育った生徒たちと向き合わないといけないとなると、それは大変だろうなと思います。

 

確かに、家族の帯同を含め、外国人を日本人と平等に扱うということは理想であるけれども、私たち日本人の心配はどうしたらいいのやらという気持ちです。

 

私が外国人労働者について心配なことは、次の三つです。

1、低賃金で働く外国人労働者が増えることによって、日本国内で労働の賃上げがなされないこと

2、外国人の受け入れ方によって、日本社会にプラスになるより、マイナスが多くなること(フリーライダー、治安の悪化など)

3、外国人が多い日本を、日本として受け入れられるかどうか 

 

これらの懸念は、やはり私が日本人と外国人との間に線を引いているから生じる問題です。

この3つは、100年も経てば、すごく差別的な文章として、多くの日本人に抵抗感があるものに変わるのかもしれません。現在でも、難民の問題を真剣に考えている人にとっては、私のような人間は許せないかもしれません。

 

ただ私は、こういった不安をなかなか捨てることができません。

しかし、そういった不安に関係なく、労働人口の減少が進んでいる日本ですから、外国人労働者が増えるのは避けることができないのでしょうけれど。

 

また、講演会の後、内藤先生の「外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?」 を読みました。

先生はイスラーム地域研究がご専門ですから、その方面からのアプローチによる最近の移民問題のことを知ることができました。

ただ、これでも私の不安は消えませんでした。「外国人と仲良くなろう」という気持ちはいいことだと思うけれど、私には心もとなく感じたのです。