子どものいない夫婦、子どものいる夫婦、どちらが幸せなんだろうと考えていた時期がありました。
勿論、幸せがどうかは、それぞれの夫婦が感じることだと思うのですが、自分自身に置き換えた時、どうなのだろうということをずっと考えていました。
今回は、長らく子どもはいらないと思っていたけれど、現在、妊娠中の私が、周りの狭い人間関係の中で感じた、子どものいる夫婦・いない夫婦についてを書こうと思います。
いろいろな夫婦がいますし、「あなたの周りに、たまたまそういう人がいただけじゃん」と思われるかもしれませんが、そういうふうにしか私は未来像を描くことができませんでした。就活情報はたくさん手に入る世の中ですが、共働きの子育て情報ってあんまり無いなと思います。どちらも大切なことなのに。
結婚を前提として、子どもをどうするか
私は、20代前半で結婚しました。
同年代の大卒の知り合いの中では、一番早い結婚でした。
結婚=夫婦であることを所与の条件としたときに、出てきた問いが「私たち夫婦は、子どもをつくるのか? つくらないのか?」というものです。
夫は子どもをもつことに前向きで、私は子どもをもつことにためらいを感じていました。
↓「子どもをもちたくない理由」については、他の記事に書きました。
結婚当初は、まだ若かったので、「子どもをどうするのか?」の答えは先延ばしにし、とりあえず、仕事に慣れることを優先しました。
そして、働きながら、同じ職場で働く、子どもがいる・いない女性たちを観察して、「自分ならどうだろうか?」を自問自答していました。
子どもがいる夫婦の余裕のなさ
私が新卒で入った会社は、おそらく、女性の働きやすい環境という面では、恵まれていたのではないかと思います。
産前産後休業、育児休業、時短勤務、子の看護休暇などの制度があり、希望者はきちんと取得できていました。
また、女性の管理職は普通で、子どもがいる女性も管理職になっていましたし、女性の登用に積極的な感じはありました。
そのような環境であっても、フルタイムで働くお母さんたちから話を聞いて、私が思ったのは、「仕事に育児に家事に、本当に大変だな」ということでした。
たとえば、こんな話を聞いたことがありました。
- 共働きなのに、ご飯を作るなど家事のメインは母親であること
- お弁当作り、PTA活動、保護者会、子ども会という負担
- 夫は単身赴任で、子育てがワンオペ
- 頼れる実家の両親は、高速で2時間
- 急な風邪。下の兄弟が時間差で風邪。
- 部活の送り迎えやサポート
- 待機児童にならないために、0歳からの認可外保育園に預けること
- 学童が抽選で入れるか分からないこと
- 子どものゲームやスマホ依存
- 子どもが警察に補導された
- 私立で塾にも通わせていたのに思うようなところへ進学できなかった
- 学費や塾の費用が高い
- 一人暮らしをする子どもが、全く家に帰ってこない
昼休みなどに、子育てをしている人たちから上記のような話を聞いて、暗い気持ちになりました。
また、育児休業などのブランクのせいでしょうか、仕事に関する知識が同年代の他の人より足りていないお母さんもいて、仕事の遅れを取り戻すのに大変だろうなと感じたこともありました。
他方で、子どもを3人育てながら管理職をやっているお母さんもしましたが、余裕のない感じの人で、私はその人が苦手でした。
女性が出世する扉が開かれていましたが、出世すると、単身赴任・長時間の残業・出張が待っているなど、子育てとの両立はとても大変であることは明白でした。
以上のようなことを見たり、聞いたりした中で出てきた疑問は、「こんな大変な思いをした育児の見返りってなんだろう?」「フルタイムで働きながら、子どもを育てるのって、ベストな選択なんだろうか?」ということです。
子どものいない夫婦の余裕
母親の子どもに対する愛情は無償のものだという人もいます。
子育てに見返りを求めるだとか、損得勘定をするのはおかしいという人もいるでしょう。
「子育ての見返りの話」の前に、私の周りにいた子どものいない夫婦の話をしようと思います。
私の周りにいた子どものいない既婚女性(40~50代くらいの年齢)に対して、感じたのは「余裕」です。
夫婦フルタイムの共働きで、夫婦の合計年収は少なくとも1000万円以上はあったんじゃないかと思います。
年賀状に、「大みそかは、パリのシャンゼリゼ通りで、夫と乾杯します」と書いてきた方もいましたが、子どものいない夫婦の何組かは、毎年、海外旅行に行くのが当たり前な感じでした。
そして、彼女たちの着ている服や食べているものも、お金がかかっていそうな感じでした。
時間にもゆとりがあって、趣味を楽しんでいたり、仕事に好きなだけ打ち込んでいたり、私が仕事のことを訊いても親切丁寧に教えてくださる。
その夫婦たちが、不妊なのか、選択的に子どもがいない(DINKs)のかは、私は知りませんし、個人的なことなので尋ねようとも思いませんでした。
子どもがいないことに苦しんでいたこともあったのかもしれません。
ただ、私が上辺だけ見ていた彼女たちは、時間・金銭的に余裕があって、好きなことに打ち込み、とても生き生きとしている感じでした。
子育てのメリットは、わかりにくい
子育てや家事の負担について毎日のように不満を漏らすお母さんたちと比べて、子どものいない奥さんたちのほうが、わかりやすい「幸せ」があると私は思いました。
子どものいない奥さんたちが手にできるもの。
自由になるお金と時間。海外旅行、高価な服や食事。趣味や出世。
資本社会・消費社会ですから、使えるお金の増加、たくさん消費できることは、わかりやすい「幸せ」な状態だと思います。
他方で、子育てや介護といったケアは、労働に対して金銭的な対価はなく、行う人の自由も制限され、何がメリットになるのかわかりにくい状態だと思います。
金銭的な対価ではなく、感謝や成果(病の回復・子の成長)という対価があるのかもしれませんが、これは、相手など外的要因に左右され、必ず確保されるものではありません。
「子どもを産んで育てて一人前」「子は親を介護しないといけない」というような社会規範は、過去のものになっています。
メリットがなんだかわかりにくい行為で、しかも、選ぶかどうかは自由な行為を、あえて選ぶことに疑問を持つ人が多くなるのも無理はないと思います。
子どもをもつメリット
毎日、子育てや家事の負担を愚痴る先輩社員に、「子どもを産んで後悔していますか?」なんてことは訊けませんでした。
習い事とかであれば、嫌なら止めればいい話ですが、子育ては途中で止められるものではありません。後悔しているからといって、どうすることもできないのです。
私は妊娠中で、子どもはまだ育てていないので、これは想像でしかないのですが、子どもがいるメリットってなんなのだろうと考えてみました。
家系が続く、自分の遺伝子を残す、子どもはかわいい、祖父・祖母がよろこぶ、老後が安心、家族の理想の形、夫婦仲がよくなる、国の将来のため…。
こうして考えてみると、これらのメリットは、私にとってはあまり魅力的でないことだと改めて思います。
それら以外の、私が共感できる子育てのメリットだと思うことは、「誕生から一定年齢までの成長にかかわることができる」ということです。
この考えは、私が結婚してから気づいたこととつながっているのですが、長くなるので、つづきは改めて書こうと思います。