皆川明『生きる はたらく つくる』(つるとはな)を読んだ感想です。
皆川さんがどんな子どもだったか?という話から、
ミナ ペルホネンを立ち上げるまで、立ち上げた後、そして、今、考えていることなど。
皆川さんの本は、これまで何冊か読みましたが、自伝のジャンルでは本書が一番密度が濃かったです。
人との出会い
他書で、皆川さんの自伝を読んだときにはあんまりそのように感じなかったのですが、本書を読み、人との出会いって大切だなと改めて思いました。
皆川さんは、高校卒業後、訪れていたパリで、たまたま、人の紹介でコシノジュンコのパリコレクションを手伝うことになりました。
そのお手伝いが、皆川さんがファッションの世界に入るきっかけになります。
この他にも、さまざまな人との出会いによって、ミナが生まれたんだなと思いました。
特に、ミナを立ち上げた際の最初の社員・長江青さんの献身には驚きました。
無給でも構わず、働き続け、過去の不払いの分もいらないと答える。
草創期の、将来性がわからないブランドで、よくここまで働くことができるなと思いました。
他にも、輸入家具商を営んでいた皆川さんのおじいさん・おばあさんや、学生時代の陸上部のコーチ、ミナのコンセプトに理解を示してくれた工場の社長さんなど。
いろいろな人との出会いによって、ミナ ペルホネンは生まれたのだなと思いました。
働き方についての考え方
ミナの立ち上げたころは、なかなか売り上げも出ず、無給・長時間労働でそれこそブラックな働き方だったけれど、ブラックだからと切り捨ててよいのか?という話は、考えさせられました。
皆川さんは、長時間労働といった労働条件よりも、「働かされる」という感覚に着目しています。
本来、働くことはクリエイティブなことなのに、「働かされる」という感覚によって想像力が失われてしまうし、すべてを投げ出したくなる、という話がありました。
確かに、私も過去にした仕事を振り返ってみると、「働かされている」感覚がある仕事は、嫌でしょうがなかったなと思います。
たとえば、このやり方は間違っていると思いながらも、上司に従って仕事をしたときなんかです。
そして、それは、長時間労働とか、給料が少ないとかは、あまり関係ありませんでした。
「働かされている」感覚から離れて、仕事のよろこびを見つけるにはどうしたらよいのか?
9章あるうち最後の2章は、働き方・ものづくりについての皆川さんの考えが書かれています。
おすすめ/自伝以外なら
『生きる はたらく つくる』は、ミナ ペルホネンが好きで、皆川さんのこれまでをもっと知りたい人には、勿論おすすめですし、
働き方について考えたい人、アパレルだけでなく自分で会社を立ち上げようとしている人にも、ヒントを与えてくれる本だと思います。
もし、自伝ではなく、皆川さんのエッセイが読みたいなら、私が読んだ中では、こちらの一冊が一番おすすめです。