伊藤まさこ「松本十二か月」(文化出版局)
伊藤まさこさんが、12箇月に分けて、松本ついて語ったエッセイです。
松本のよいところが、文章と写真で知ることができます。
「クネクネ」のパンは美味しい
この本に松本城は出てこなかったと思うけれど、松本はお城以外にもよいところがいろいろあります。
たとえば、この本にも載っている「クネクネ」のパン。
素朴なパンが好きな方はきっと好き。
とっても美味しい。
私には、東京の素朴なパン系有名店のパンよりずっと美味しく感じました。
「素朴系のパンが好きな人は、是非行ってみて!」と声を大にして叫びたいけれど、
まず、観光客はたどり着けない場所にあるのです。
駅から歩くにはやや遠いし坂道で、店の駐車場に駐車するのにもやや高い運転スキルが必要なのです。
そして、すぐに売り切れるのです。
この本は「ガイドブック」ではない
他にも、この本で取り上げられている「三九郎」は、
他の地域でも「どんと焼き」として行われていますが、実によい行事なのです。
寒い夜に見る炎は美しく、火であぶられて、
あったかくなったまゆ玉(色付けされただんごというより「すあま」に近い)は優しく甘く、とても美味しいのです。
しかし、観光客は、松本に住んでいる知り合いでもいなければ、
三九郎に参加するのは、かなりハードルが高いのです。
そう、この本は観光ガイドブックじゃないのです。
伊藤まさこさんが実際に住んで、よかったところを紹介した本。
勿論、松本には悪いところもあります。
でも、そういうのに目を向けないで、美術館で絵を見るように、素敵なところだけ紹介する本があってもいいですね。
『松本十二か月』のように、他の地域でもこのような、その地域のよさを知れる本があるのなら、読んでみたいです。