MOORIT『こんな糸で編んでみたい』(グラフィック社)を読んだ感想です。
最近、編み物熱が高まっているなかで、編み物に関する本を読みたい!と思い、手に取りました。
毛糸・編み物の奥深さを感じることのできる一冊でした。
書き手は、MOORITさん
この本の書き手であるMOORITさんは、毛糸、編み物ツール、キットやパータンなどを販売されているお店です。
つまり、編み物専門の手芸店。
MOORITさんで扱う毛糸は、「大量生産はできないけれど、丁寧につくられた編み心地のよい上質」なものを選んでいるそうです。
ネットショップを見ると、普通の手芸店では手に入らなさそうな毛糸が売られています。
実店舗は、現在、東京の二子玉川にあります。
その前は、丸の内のKITTEに店舗があったのだとか。
私は数年前にKITTEに行った際、MOORITさんだったと思われるお店を見たことがありました。
壁の棚に、色とりどりの毛糸がたくさん収まっていて、
お店の真ん中にある大きな机では、熱心に編み針を動かしている方が数人いたような記憶があります。
その頃、私はまだ手芸に興味がなかったので、店舗の外から覗いただけでした。
それでも、その光景が自分の記憶に残っているのは、よくある街の手芸店とは違うおしゃれな雰囲気がMOORITさんのお店にはあって、それに憧れる気持ちがあったからではないかと思います。
私の家からは二子玉川はやや遠いけれど、いつか行ってみたいお店です。
信頼できる生産者が作った毛糸
本の冒頭に、「シングルブリードの糸」の話が出てきます。
シングルブリードは、単一の品種の羊の毛で作られた糸のこと。
羊の種類による毛糸の雰囲気の違いが説明されていて、「実際に触ってみたい!」と思いました。
また、単一品種というのは、どこの業界でも有難がられるものなのだなと思いました。
コーヒーでも、農場や生産者、品種などが単一の「シングルオリジン」というものがあります。
ブレンドと違って、シングルオリジンのコーヒーは、コーヒー本来の味の違いがわかると人気があります。
コーヒー以外にも、チョコレートや緑茶の世界なんかでも、混ぜ物ではなく、単一の品種・生産者が明記された商品がありますよね。
本書では、MOORITさんが選んだ毛糸がいくつか紹介されていて、どれも信頼できる生産者から仕入れられているのだなということがわかりました。
たとえば、カシミアは、なかなか飼育方法や飼育環境に納得できる毛糸が見つからず、しばらく取り扱わずにいたそうです。
たくさん安売りされている毛糸を見ると忘れてしまいがちですけど、毛糸は、羊やアルパカ、カシミア山羊などの動物たちから頂いているものなんだよなということを改めて感じました。
編み物を楽しむために
第2章では「編みたい糸と上手につき合うために」と題して、糸の太さ、輪針、英文パターン、仕上げの方法などのことが書かれています。
編み物初心者なので、いろいろと勉強になりました。
たとえば、糸の太さの規格が、国によってまちまちであることは初めて知りました。
また、棒針・かぎ針の号数表記も日本とアメリカ、イギリスでは違うんですね。
本書には、それぞれ変換表が掲載されています。
他に、写真で紹介された作品の編み図が載っています。
一番すごいなぁと思ったのは、「アレグリアで編んだ手編みのタイツ」。
画像は、MOORIT『こんな糸で編んでみたい』(グラフィック社)より引用
細い糸の大作で、模様も美しく、とても根気のいるものだろうなと思いました。
その後、編み物エッセイ、他にも読みました。