髙村志保『絵本のなかへ帰る』(岬書店)の感想です。
子どもの頃に抱いていた気持ちを思い出したり、これから自分の子どもにどのように接するべきか考えたりしました。
親から子、またその子へ
著者は、長野県茅野市にある「今井書店」の店主。
子どもの頃の著者に絵本を読んでくれたのは、著者のお父さんでした。
「今井書店」は、著者のお父さんが始めたお店でした。
本書の内容は、絵本の感想というよりも、絵本に関連した作者の思い出が綴られています。
読んでいて、私は、忘れていた子どもの頃の気持ちを思い出しました。
それは、働く母親に対して子どもが抱く寂しい気持ちであるとか、空想と現実が混ざった世界への眼差しであるとか。
成長して、今では同じ気持ちにはなれないけれど、私にもこういう気持ちがあったなと思いました。
また、著者が母親となり、自分の息子に絵本の読み聞かせをするようになってからのことも書かれています。
お子さんはすでに独立されているようですが、子育てのエピソードでは、どうするのがよかったのだろうと思い悩む著者の姿があります。
絵本を読み聞かせるということ
私は子どもの頃、記憶の残っているなかで親に本を読んでもらったのは、2回。
きっと、記憶に残らなかった、もっと小さいときに読んでもらったのかもしれません。
母曰く、私は文字が読めない頃から絵本を開くのが好きな子だったようです。
それでも、親に絵本を読んでもらうという経験に乏しいからか、絵本にまつわる家族の思い出は、私にはほとんどありません。
本書を読んで、絵本の読み聞かせは、親子の内面世界を豊かにするのだなと思いました。
私は以前から、絵本の読み聞かせによる、国語力向上という側面には着目していました。
ただ、あまりにもその目的を意識し過ぎてしまうと、読み聞かせの時間が子どもにとって耐えがたい時間になってしまうようです。
著者が、息子を賢い子に育てたいあまり、絵本を読んだ後に質問攻めにしていたエピソードがありました。
後に、著者はそのような自分の行動を反省しています。
また、心を豊かにするからという目的で絵本を読み聞かせるのもありだけど、それも少し違うような気がする、と読んでいて思いました。
ただ、純粋に、「絵本とともにある時間の喜び」を親子で共有するために、いつか、自分の子に絵本の読み聞かせをできたらいいなと思います。
そのときは本書に出てきた絵本に、手を伸ばそうと思います。
それと、諏訪方面へいつか行ったときに、今井書店に行ってみたいなと思いました。
私も著者と同じくエレカシ大好きです。