風工房 服田洋子『今日も編み地、明日も編み地 ―風工房の編み物スタイル』(グラフィック社)を読んだ感想です。
最近、編み物にハマっていて、編み物エッセイが読みたい!と思い、手に取りました。
本書では、風工房さんのこれまでの編み物歴と、デザインの際に心がけていること、編み物の旅について書かれています。巻末には編み図が4作品紹介されています。
戦後の編み物の歴史
「風工房さんのことは、本屋の手芸本コーナーでその名をよく目にします」くらいで、初心者の私は、詳しく存じあげておりませんでした。
そのため、風工房さんがどのくらいのご年代の方なのかもわかってないくらいだったのですが、本書の冒頭に「大学紛争」や「母は"職業婦人"」といった話があり、
「そんなにベテランの方なのか!」と作者のプロフィールが書かれている奥付を見ました。
「20代の頃から40年以上にわたり、雑誌や書籍で、編み物の作品を発表されている」という説明があり、ファッションの流行り廃りもある中で、40年もニットデザイナーをされているなんて…!と思ったのでした。
戦後のモノが豊かでなかった時代に、お母さんがセーターを編んでくれた話。
やがて、自分も独学で編み物を始めるようになった話、新しい毛糸を買うお金がなかったので家にあったセーターをほどいて編んだ話。
海外の雑誌の洋服に憧れたり、仕事の製品を編み機で作るようになったことなど。
そういった個人的な体験から戦後の編み物の歴史を知るようで、面白かったです。
また、これまで風工房さんが単著で出版された編み物本のカバー画像が一覧で載っていました。
なんと、1984年から2017年まで。
今でも、書店の編み物本のコーナーでは、「風工房」の名を一番多く目にします。
私もいつか風工房さんのデザインで編んでみて、人気の理由を知りたいなと思いました。
編み物の故郷へ
編み物の旅。
アルパカを育てているペルーへ編み物の指導で訪れた時の話、旅行で訪れたアラン諸島やシェットランドに行った話などが書かれています。
とくにアラン諸島のなかのイニシュマン島の風景写真は衝撃的でした。
画像は、風工房 服田洋子『今日も編み地、明日も編み地 ―風工房の編み物スタイル』(グラフィック社)より引用
自然の厳しさの中で、セーターが必要だったのだなと感じました。
やっぱり、伝統の中で生まれてきたものは、そこの風土と結びついているものだと思います。
今じゃ、日本でも普通にセーターを着てますが、今の日本人と風土にあったセーターってどんなものだろう?と少し思ったりもしました。
前回MOORITさんの本に引き続き、風工房さんの編み物エッセイ本でした。
とっても楽しいので、他の著者の編み物エッセイも読みたいけれど、あまり数は多くないみたいですね。
また、読んだら感想を書こうと思います。