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島根玲子「高校チュータイ外交官のイチからわかる! 国際情勢」

島根玲子「高校チュータイ外交官のイチからわかる! 国際情勢」

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高校を中退した元コギャルの外交官が、外交ついてわかりやすく語った本です。

 

まず、著者がコギャルから外交官になった経緯(自伝)を紹介しているのですが、

さらに詳しく知りたいと思うくらいに興味深いものでした。

作者の体験談は、高校中退し、この先どうしたらよいのかわからない若者に、希望を与えるものだと思います。

 

その次の外交については、いくつかのトピックスに分けて、紹介しています。

まず、外交問題を考える前提として、日本の借金、高齢化、人口減少について説明しています。

次に、外交問題を、食料自給率、関税と自由貿易、核兵器、難民と移民、領土・領海の問題などのトピックスに分けて、広く浅く初心者向けに紹介しています。

 

以下、自伝以外の部分についての感想です。

文章がわかりやすい!

初心者向けとしていても、たとえば、学者の先生が書かれた文章には、もっとわかりやすく書けないのかしら?と思うものがあります。

この本は、大変わかりやすい、こんなにわかりやすい文章が書けるなんて、すごい!と思いました。

わかりやすい文章を書くのって簡単そうで、実はすごく難しいと思います。

勿論、わかりやすいのは、この本で扱っている内容が基本的であるからというのもあるのですが、普段本を読まない方でも、すらっと読める中身になっています。

また、文字の大きさや余白、ところどころに猫のイラストがあるので、読みやすさを追求した本だなと思います。

浅く、広く、前向きに

この本では、外交問題の基本的なトッピクスを幅広く扱っています。

そのため、一つ一つの文章量が少ないですが、この本を手掛かりに自分の気になるトッピクスについては、さらに詳しく書かれた他の本を読むといいでしょう。

また、それぞれのトッピクスについて、著書がどのようにその問題を受け止めているか簡単にまとめているのですが、実に前向きな姿勢です。

この前向きな姿勢ゆえに、楽観視しすぎだと批判されそうな感じもありますが、まあ、これはこれでありだと私は思います。

まとめが前向きというだけではあって、それまでの説明の過程には、ちゃんとネガティブなことも書かれています。

それに、外交問題は、複雑で深刻で、色々な見方がある問題で、真剣に考えると、私なんかは具合が悪くなりそうです。

どの本も前向きなことしか書かれていないのでは困りますが、この本は初めての方向けですし、入門書としてライトに外交を扱った本があってもよいんじゃないかと思います。

誰にでもおすすめできるわけじゃない

普段、ニュースをよく見てる人にとっては、知っている内容ばかりで、つまらないかもしれません。

また、ユニークな著者の持論や最新の研究結果などの情報が載っている訳ではないので、こんなのウィキペディア見ればわかるじゃんと思う方もいるかもしれません。

 

反対に、外交問題を知らない人、改めて考えてみるとなんだか説明できない人にはおすすめです。

私は、すでに知っている部分もありましたが、知識の整理になりましたし、北方領土と竹島の歴史をよく知らなかったので、概要を知ることができてよかったです。

 

外交問題の初心者ということで、小学生や中学生にこの本を勧めるのは、まずは身近な大人が読んでからにしてください。

というのも、「女子割礼」の問題などを取り上げているので、お子さんによっては刺激が強すぎる場合もあります。

書籍の対象年齢は一律に決めるものではないと思うので、個々のお子さんの成熟度合いによって判断されるとよいかと思います。

著者のこと

この本で、著者が外交官になるまでは簡単に知ることができましたが、一般人にはよくわからない外交官のお仕事について、もっと書いてくださったら、読んでみたいなと思い 著者に今後取り上げてほしいことました。

また、個別の国との問題「韓国・中国」についてや、なかなか初心者には難しい「中東」についても、もっと掘り下げて、同じくらい易しい内容で書いてくださったら、読んでみたいなと思います。

 そして、一般的に知られていることよりも、著者が外交官だからこそ書けることをもっと読んでみたいなと思いましたが、これは守秘義務もあるでしょうし、実際には難しいと思います。

この本の巻末には、「個人の見解であり、外務省の見解ではありません」などと注書きされています。なかなか現役の外交官ということで制約が多いんじゃないかと思います。

 

実際の現場で働いている人が、リアルな情報を一番知っているのは当たり前だと思います。

しかし、現場の人が日々感じていることが、なかなか世間に届いていないように思います。

この「高校チュータイ外交官のイチからわかる! 国際情勢」の筆者だけでなく、本当はもっと現場で働いている方の意見や感想が世の中に出てくるようになればいいのになと思いました。