工藤保則『46歳で父になった社会学者』(ミシマ社)の感想です。
最近、私も子どもが生まれたので、たくさん共感するところがありましたし、こんな考え方もできるのねという発見もありました。
自分の人生を生きなおす
この本の中で、とくに共感したのは、子育ては「自分自身の人生を生きなおす」ような感覚があるということ。
同時に、自分自身の人生を一から生きなおしている感じもしている。子どもが離乳食を食べられるようになる。ハイハイができるようになる。(中略)
これらを間近で見ていると、「自分もこうだったのか」と思わずにはいられない。そして、「できるようになる」よろこびを自分のことのように味わう。私自身が乳幼児だったころに感じたであろう「できるようになる」よろこびは、当然のことながら記憶には残っていない。したがって、そのよろこびをはじめて実感しているとも言える。わが子を通して、幼き自分に出会えた。
(工藤保則『46歳で父になった社会学者』(ミシマ社)より引用)
私も、子どもの成長を見守る中で、自分自身も小さい頃、同じように一つずつできることが増えていったのだなと、しみじみ感じています。
子どもが生まれて初めて知ったのですけれど、子どもの成長って、とってもうれしいんですね。
体重、身長が大きくなるだけでなく、数日前までできなかったことができるようになっていて、それを知って、とてもうれしく感じます。
子どもはまだ話すことはできないし、赤ちゃんの感情ってどんなものなのかわからないけれど、なんとなく、子どもも新しくできたことをよろこんでいるように、私は感じます。
子どもを通して知る世界
本書には、作者が子育てをする中で感じた、公共でのこと、家庭でのこと、父親と母親の違いのことなど書かれています。
作者と同じく、私も子どもが生まれたことによって、それまでと違った感じ方をすることがありました。
また、私の子はまだ0歳なので、本書を読んで、これから私もこういうことを体験するのかなと将来の姿を思い浮かべることがありました。
とくに、作者のお子さんと、おじいさん、ひいおじさんとの交流が温かく書かれているのを読んで、自分の両親や祖父母のことを思いました。
私は、コロナ禍の中で出産したので、まだ自分の子どもを親や祖父母に会わせることができていません。
これからも子どもと一緒に過ごすことで、いろいろな世界が見えてくるよ、ということを教えてくれる一冊でした。