よりよい日々を

本と美術と考え事などをとりとめもなく

原田マハ「リーチ先生」

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 原田マハ「リーチ先生」を読みました。その感想です。

 バーナード・リーチを知ったきっかけ

数年前、「バーナード・リーチ展」を

たまたま観たことがある

 

スリップウェアや

鹿の絵が描かれた

素朴な温もりのある陶器たち

 

親しみやすいけれど

形や姿は芸術であり

心に残る展示だった

 

 

そして、写真で見た

バーナード・リーチその人は

背広を着て、眼鏡をかけた

スマートな英国紳士というふうに感じた

 

「陶芸家」というと

恰幅のよい熊のような男が

作務衣を着て、首に手ぬぐいを巻き

気難しそうな顔をして…

なんていう私の勝手なイメージとは

リーチは異なる人だった

 

その展覧会を観たのに

私はなぜイギリス人である彼が

遠い異国の地である日本で焼き物をやっていたのか

よく知らなかった

 

 「リーチ先生」を読んで

「リーチ先生」を読んで

幼児期に日本で暮らした彼が

青年になって芸術家の道を志し

イギリスから日本へ渡り

仲間に恵まれる中で

陶芸の魅力を知り

やがて陶芸に人生を捧げたことがわかった

 

リーチはとても情熱家なのだなと

読んでいて感じた

 

どこまでリアルなのか?

でも、その読みは本当はよくないのかもしれない

 

作者の原田マハは

アートの世界を題材にしたフィクションの書き手だ

 

「リーチ先生」でも

リーチ先生を慕い

陶芸家を志すことになる主人公亀乃介は

架空の人物である

 

原田マハの他の作品

「楽園のカンヴァス」「ジヴェルニーの食卓」などを読んで

友情や愛情の話に

自分の感情が動かされると同時に

実在の人物をこんなふうに想像で書いてしまってよいのだろうかという

恐れをちょっと感じたりもした

 

でも、それを言ってしまえば

歴史小説も、大河ドラマも

成り立たなくなってしまうのだけれども

 

 

リアルなアートの世界を題材とした架空の物語というのが

私にとって目新しいからそう感じるだけで

 

こういう小説や映画やドラマは

現実とフィクションの間の

実は際どいところの娯楽なのかもしれないなと思う

 

 「亀ちゃんが実在の人物か?」については、別の記事で書きました

www.yoriyoihibiwo.com

 

表紙が素敵 

冒頭の写真は

「リーチ先生」書籍のカバーを外した写真である

 

表に出てこない書籍の表紙まで

リーチの素描のようなモチーフで飾られ、美しい

  

 

yoriyoihibiwo.hatenablog.com

ちなみに、我が家では

スリップウェアのことを

お好み焼き皿と呼んでいる

 

スリップウェアを知らない人は

画像検索してみてほしい